先日の県海外視察住民訴訟に対する仙台高裁の判決に対し不服があったため、オンブズマンは上告し、6月22日付で上告受理申立理由書を提出しました。
提出した書面の内容については img-622113741.pdfをごらんください。
時間がない方のために、簡単にどんなことが記載されているのかご説明しますと・・・。
まず、仙台高等裁判所の原判決には、以下の2点の誤りがありました。
①議会による派遣命令の違法性と派遣された議員が受け取った旅費の支出行為の違法性とを混同し、結局いずれについても裁量行為として緩やかに審査している点
②原判決は、違法性の判断に当たって、裁量権の濫用・逸脱という古典的できわめて緩やかな基準を採用している点
の2点です。
そこで、上告受理申立理由書では、
①の点については、議会による派遣命令の違法性と派遣された議員が受け取った旅費の支出行為は明確に区別され、後者については、裁量権がないことから違法性については厳しく審査すべきであること
②の点については、議会による説明責任の原則を考慮し、また最近の下級審の動向を踏まえ、裁判所としては、より踏み込んだ審査をすべきであること
を指摘しました。
高裁は、議会や議員の裁量権逸脱を認めなかった地裁判決を支持したどころか、地裁が「調査させる合理的必要性に疑念を生じさせる」「調査・見学させる必要性については疑問を差し挟む余地があるといわざるを得ない」とした部分すら書き改めて、さらに後退した判断をした。
オンブズマンは、海外視察が適法と言えるためには、現地調査の具体的必要性があり、十分な事前準備の下に、実際に成果が上がるような調査がなされ、その調査結果が報告書に記載されて県政に反映されるようなものでなければならないと主張した。
これに対し控訴審は、調査目的に即した見学などを行って「調査目的について理解を深めたものと認められれば」視察を行う必要が認められると判示し、また調査目的に含まれていない観光資源の調査を行ったことについても、県の観光政策の在り方を考えるに当たって「全く関係がないとはいえない」上記の観光地を見学したとしても、本件海外視察が全体として観光目的のものであったと断ずることはできないと判示した。
つまり県政と関連性のある調査目的が掲げられ、県の政策の在り方を考えるに当たって全く関係がないとはいえない見学が行われれば、県の政策について理解を深めることができるので適法だ、というのが高裁の判断枠組みである。この論法を当てはめると、観光政策調査を調査目的に掲げれば、全行程を観光施設見学に当てたとしても、観光政策について理解を深めることができるので適法ということになる。県議会は本件提訴後海外視察を事実上自粛してきたが、県議はこれで大手を振って海外旅行に出かけられることになる。
高裁判決は、司法の行政チェック機能を放棄し、海外視察に名を借りた議員の観光旅行を容認する結果となる非常識な判断である。オンブズマンとしては上告受理申立を検討する。(坂野)
裁判所は,オンブズマンの請求を認めませんでした(請求棄却)。
裁判所の判断枠組みは,合理的必要性がないにもかかわらず派遣したり,視察の名のもとに観光をさせることを容認して派遣するなどの場合には裁量権行使の逸脱濫用として違法となるというものでした。このような一般論を当てはめ,外形的には観光旅行と区別できないと認定しながら,もっぱら観光目的の視察であったと断ずることは出来ない,あるいはそれなりに知識を高め見聞を広めたことが伺われないではなくそのことが県政に資する可能性も否定しがたく一定の成果を上げたと言えなくもないなどと,二重否定を何度も重ねて議員を救済しました。
市議会海外視察訴訟の控訴審では,議員側が「伊サッカー協会との面談日がずれ込む可能性があったので最終日の宿泊費は無駄ではない。最終日はガイド・アシスタント費用は支出していない」と弁解しています。本年6月9日,岡本あき子議員の証人尋問が行われ,①ずれ込みが予想された当日に実際は帰国の途についていること,②休養を兼ねた自由視察日にガイド料や通訳料が公金から支出されていたことが判明しました。今後は最終準備書面を提出して,次回結審となる予定です。
議員らは皆,相当な日程を割いて有名な観光地を「視察」しています。旅行の全体を観察すれば,「視察」した割には仙台市政には何の成果もなく,常識に照らしてお手盛りの観光であることが明らかです。全額税金を投入して行うことが許されるのか,安易な裁量論に逃げることなく,仙台高裁には常識的な判断を期待します。
次回裁判期日 本年7月14日(火)午前11時 仙台高裁第1民事部
平成18年10月に県議会により派遣されたフランス海外視察団には、政務調査を目的とした自民党県民会議欧州視察団が同行しています。実際、両視察団の行程や視察内容は全く同一でした。
まず、県議会において海外視察の議決を経た視察団と、自民党の政務調査目的の視察団とでは全く別の財源により費用が支出されているので、当然、各視察団の視察に要した経費はそれぞれの責任で支払うべきです。
しかし、旅行会社の発行した領収証が視察団毎に発行されていないこと、同一行程なのに往復の航空運賃は視察団によって一人あたり約80万円程の差があることなどから、オンブズマンは訴訟において海外視察費を政務調査に流用した可能性を指摘しました。
証人の中島氏は、政務調査目的の視察団の一人です。
次回尋問では、海外視察費を政務調査に流用したのか否か、その疑問が浮き彫りになると思われます。
日時は下記のとおりですので、皆様、ふるって傍聴して下さい!
みうら
記
5/12AM10:30~ 仙台地方裁判所
中島源陽氏の証人尋問
