1 事案の概要
本件は、担当職員が、2022年6月30日に職員に支給された夏のボーナスから差し引いた源泉所得税9億6063万8388円の納付期限を誤解し、誤った払出命令書を作成し、上司である給与係長・労務課長が書類の間違いに気づかないまま承認・決裁してしまったことから、上記源泉所得税9億6063万8388円の納期限である7月11日までに納付することができなかった結果、仙台市が延滞税145万2700円と不納付加算税4803万1500円の合計4948万4200円を支払うことになり、損害を被ったという事案です。
2 監査請求書提出
2023年5月17日、仙台市民オンブズマンは、仙台市監査委員に対して、本件についての監査請求書を提出しました。
3 監査請求に至る経緯
去る2022年12月13日、別の市民により本件について監査請求が行われていたところ、これに対する監査委員の監査結果(2023年2月8日付)は、担当職員、給与係長、及び労務課長に重過失が認められないとして、損害賠償責任を否定するものでした。
この監査結果および情報公開請求によって入手した関係資料を検討した結果、仙台市民オンブズマンとしては、監査委員が、誤った払出命令書を起案した担当職員、その払出命令書を承認した給与係長、及び決裁した労務課長の損害賠償義務を否定したことは誤っていると判断し、監査委員に対し、改めて本件について精査するよう求めるために監査請求をするに至った次第です。
4 監査請求書の概要
監査請求書の概要は、次のとおりです。詳細は、下記の監査請求書をご参照ください。
① 誤りのある払出命令書を承認した給与係長、決裁した労務課長は、わずかな注意を払えば払出命令書に誤りがあること(ボーナスに対する源泉所得税9億6063万8388円が漏れていること)に気づくことができたはずである(関係資料の記載からすれば、資料に目を通してすらいない可能性すらある)。
② 払出命令書を起案した担当職員については、仙台市に一定の問題があったとしても、これまで同様の誤りをした職員がいなかったことからすれば、一切責任がないとはいえない。
5 今後の予定
6月8日に仙台市民オンブズマンの意見陳述を行います。その上で、監査委員は、請求日から60日以内に監査結果を出すことになります。
仙台市による全庁調査では、2018年1月から5年間の徴収ミスが264件、計1884万円に上った、とのことです。
仙台市民オンブズマンとしては、本件を通じて、市民に負担と迷惑をかける杜撰な事務処理が繰り返されていた根本原因を解明していきたいと思います。
以上
【仙台市に提出した監査請求書・事実証明書(PDF)】