故城
桜蘭のように既に砂に埋もれてしまった故城も多いが、残っているものもある。我々はクチャでスバシ故城を、トルファンで高昌故城と交河故城を見学した。
スバシ故城に着いた時には、既に日が落ちていて程なく暗くなってしまったが、丁度その日は満月。文字どうり「荒城の月」の下に見学をしたわけだが、ここの寺院は唐代のこの地クジ国の最大の仏教寺院ということで、玄奘三蔵の「大唐西域記」にも登場すると聞いて、仏塔の上から故城全体を眺め往時を偲んだ。
高昌故城は紀元前1世紀の漢代から13世紀にモンゴル軍に滅ぼされるまでの間、新彊における政治・経済・文化の中心地の一つだったという。だから規模も大きく東西1600m、南北1500mの広さ。ここでは地元の農家の人が副業でやっているロバ車で見学した。建物は皆日乾しレンガ造りであり、それだけに崩れも激しい。玄奘三蔵が説法したという建物も見た。
交河故城も大きい都市遺跡である。遺跡は高さ約30mの断崖上の台地に造られている。 要塞都市といった故城である。見張り台、中央大通り、仏塔・寺院跡、展望台、赤ちゃんの墓、官庁街などを時間をかけて見学した。
故城から対岸を見ると、日乾しレンガ造りの風通しの良い建物が並んでいるのが見渡せる。何かと聞いたら、この中にぶどうを吊して乾燥させ干しぶどうを作るということであった。ここトルファンはぶどうの産地であり葡萄酒も造られており良好中ずっとその恩恵にあずかった。観光シーズンになると、町中の葡萄棚通りではオープンカフェが開かれ賑わうのだそうだ。だが今はオフシーズン。観光客は我々だけだ。
冬の新彊シルクロードの旅(7)
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