本日、宮城県警の犯罪捜査報償費に関する情報公開訴訟の3次訴訟について、仙台地裁第1民事部において判決の言い渡しがありました。
報償費情報公開3次訴訟は、平成12年度の宮城県警の鑑識課、鉄道警察隊、生活保安課の犯罪捜査報償費に関する文書の非開示の取り消しを求めている訴訟です。
1 判決の要旨
本日の判決は,宮城県警察本部生活安全部生活保安課の犯罪捜査報償費支出に関する文書のうち、個別の執行額や事件名等の部分に関して非開示処分を取り消しを命じました。オンブズマン側の一部勝訴の判決です。
判決理由中においては、宮城県警察本部生活安全部生活保安課において,課長自らが関与する形で,組織的に捜査報償費の架空支出が相当の件数及び相当の金額にわたって敢行されており,これに伴って関係書類も相当程度偽造されていたと認めした。詳細な理由が付されて内部告発者が生活保安課の元課長であると認定されたこと,告発の中身が真実であると認められたことの意義も大きいです。生活保安課においてこのような不正支出がされていたことは,他の課においても同様の不正が行われていたことを推認させるところ、現に本判決では鉄道警察隊と鑑識課について,「捜査報償費が架空のものではないかとの疑念を払拭することはできない」と指摘しております。
2 本日の判決の評価
平成11年度の2つの裁判,平成12年度の2つの裁判(昨日と本日)によって,平成12年度までの間に宮城県警において捜査報償費が裏金とされて不正支出されていたことが繰り返し認定されました。もはや宮城県警における捜査報償費の不正支出は動かしがたい事実です。県警の不正支出を明らかにするという当初の目的は一定程度達成できたと評価されます。
ただし,本日の判決において、個人識別情報を理由に非開示を維持した点については承服できません。なぜなら,偽造文書に記載されている協力者の住所氏名等の個人情報は,偽造の手段として本人の意志にかかわらず勝手に使用されたものであるから,プライバシーの問題は発生せず,個人識別情報に該当しないと考えられるからです。
本日の判決には、このような問題もあるので、仙台市民オンブズマンとしましては、控訴を検討したいと考えております。
鈴木