１　請求の内容

　平成２９年６月から令和４年２月までの間、自由民主党・県民会議は、旧統一教会の関連団体の活動に出席するための交通費等として、合計約５１万を支払い、その全額を政務活動費から充当していることが明らかになりました。具体的には、柏佑賢議員、庄田圭佑議員、髙橋伸二議員、佐々木喜蔵議員、石川光次郎議員の活動の経費が政務活動費から支出されたことが問題視されました。

　そこで、仙台市民オンブズマンは、令和５年３月２４日、上記充当は違法または不当であるとして、宮城県知事に対し、自由民主党・県民会議から宮城県に返金を求める等、必要な措置・勧告をするよう住民監査請求を行いました。

　しかし、令和５年５月２２日に通知された監査結果は、議員側の不合理な主張を鵜呑みにした納得し難い内容であったことから、仙台市民オンブズマンは、令和５年６月２２日、宮城県知事が自由民主党・県民会議に対して上記約５１万円の返還を求めるよう住民訴訟を提起しました。

２　どうして政務活動費から支出したらダメなのか

　旧統一教会が霊感商法や多額の献金の強要等で社会的に問題視されている団体であることは、これまでの報道等により多言を要しないでしょう。では、そのような旧統一教会の活動に関連すると思われる経費について、政務活動費から支出されることがどうして問題なのでしょうか。

　この点について、政務活動費の目的は、「県政に反映させる活動その他の住民福祉の増進を図ること」にありますが、上記の霊感商法や多額の献金の強要等により社会的に問題視されている団体の活動に参加することが「県政」や「住民の福祉」に資するのか大きな疑問を抱かざるを得ません。

　実際の議員の報告書を見ると、「書写道」に出席するための交通費が政務活動費から支出されていましたが、「書写道」って「県政」や「住民の福祉」に資するんですかね。監査結果によれば、「世界情勢の調査から、防衛力向上等の県政運営の参考にした」そうです。ボクには「書写道」がどうして「世界情勢の調査」になるのか分かりませんし、「書写道」に取り組むとどうして「防衛力向上等の県政運営の参考」になるのか分かりません。

　また、議員の報告書の中には、旧統一教会の関連団体との「意見交換」という報告もありましたが、どのような意見交換をしたんですかね。監査結果によれば、「有事における的確な県政運営の参考にした」そうです。どのような意見交換がなされたのかも明らかにしないで「有事における的確な県政運営の参考にした」と言われましてもねぇ。県民の皆さんはこの説明で納得するんでしょうか。

　少なくとも、ボクには上記の諸活動がどのように「県政」や「住民の福祉」に資するのか全く分かりませんでした。仙台市民オンブズマンとしても、「旧統一教会関連団体の活動に参加することって、県政にも住民の福祉にも関係するのか分からないよね。だったら、政務活動費から支出しちゃダメなんじゃないか。」と考えているわけです。

　議員において「県政」や「住民の福祉」に資すると考えているならば、上記のような理解し難い説明ではなく、多くの県民が納得するような具体的な説明をしてほしいです。

３　政務活動費の使途は説明しなければならない

　宮城県議会の会派及び議員は、政務活動費の使途の透明性を確保することにより、県民に対して説明責任を果たさなければなりません。また、会派は、政務活動費の使用について当該会派に所属する議員を指導監督しなければなりません。

　にもかかわらず、自由民主党・県民会議は、仙台市民オンブズマンから旧統一教会関連に対する政務活動費の支出について質問された際、「個々の議員の問題である」ことを理由に、回答を拒否しました。

　個々の議員が政務活動費の使途を明らかにしようとしないなら、上記のとおり会派が指導監督しなければならないはずなんですけどね。議員と一緒になって使途を明らかにしようとしない会派って、問題ないんですかね。監査結果を読む限り、会派は現状をあんまり問題だとは思ってないみたいです。

　こうした点もズレている気がするので、改めてもらえると嬉しいですねぇ。

４　さいごに

　監査結果については、当ホームページにてご確認いただけます。

　住民訴訟の経過等についても、当ホームページにてお伝えする予定ですので、ご確認いただけますと幸いです。

千　葉　　展　浩

【参考資料】