仙台市民オンブズマン|市民による行政の監視役
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  • 情報公開請求訴訟について(控訴棄却)
  • 情報公開請求訴訟について(控訴棄却)

    仙台市民オンブズマンは,元宮城県議会議長の政務活動費に関する文書において政務活動費の受領者の氏名等が非開示とされたことについて,仙台地方裁判所では請求を棄却されたことから,平成30年7月5日に控訴しました。

    平成30年12月21日,仙台高等裁判所において本訴訟につき控訴棄却の判決が言い渡されました。本訴訟では,「慣行として公開され,又は公開することが予定されている情報」の該当性が争われ,仙台市民オンブズマンは,一審同様,当該該当性は情報公開の必要性と情報公開によるプライバシー侵害の程度を比較衡量することによって判断されると主張しましたが,裁判所は,このような比較衡量論は採用し得ないとしました。

    裁判所は,①「慣行として公開され,又は公開することが予定されている情報」の該当性の判断にあたり,上記の比較衡量は県議会条例の規定の予定するところではなく,当該比較衡量が求められているとまでは解することができないし,宮城県において氏名等の開示が開示されていることが当該比較衡量をすべき根拠となるものではない,②政務活動費と食糧費・交際費は性格を異にし,政務活動費の支出対象は食糧費・交際費よりも幅広いものであるから,政務活動費について食糧費・交際費と同様の取扱いをすべきことにはならないなどと判示しています。

    しかし,裁判所が挙げる上記の理由はいずれも説得力を欠くものです。上記①については,たとえば「『慣行として公開され,又は公開することが予定されている情報』の要件は,一義的な要件を定めるものであって,規範的な評価を伴うものではない」とまで言い切れるのかは甚だ疑わしいと言わざるを得ません。上記②についても,仙台市民オンブズマンは,政務活動費と食糧費・交際費が性格を異にし,政務活動費の支出対象が食糧費・交際費よりも幅広いものであることを前提に主張をしています。

    以上からすれば,本判決の結論には承服しかねますが,県が地裁判決の付言部分の取消しを求めていたのに対して,高裁判決はこれを取り消しておらず,「(政務活動費の不正支出事例が続出している)社会情勢のもと,政務活動費に対する県民の理解を得るという観点に照らすと,本件非開示部分に係る情報を一切開示しない措置の当否については検討の余地がある」とも述べていますから,一審判決の付言を維持する立場を示したという点では一定の評価に値します。

    仙台市民オンブズマンとしては,本訴訟の今後の対応について検討する予定ですが,上記の裁判所の付言等を踏まえて,議会に対して政務活動費の受領者の氏名等を開示すべき旨を申し入れる予定です。

    【判決文PDF】
    仙台高判H30.12.21(情報公開高裁判決)

    (千葉展浩)

    仙台市民オンブズマン

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