仙台市民オンブズマン|市民による行政の監視役
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  • 第19回全国市民オンブズマン弘前大会が開催されました!
  • 第19回全国市民オンブズマン弘前大会が開催されました!

    1 8月25日、26日に弘前市で第19回全国市民オンブズマン弘前大会が開催されました。全国から220名、仙台からもオンブズマンとタイアップグループのメンバー総勢22名が参加しました。弘前大会では、東京電力福島第一原子力発電所事故から1年半余り経過した中で明らかとなってきた政府や東京電力の情報隠しの実態を踏まえ、「原発と市民オンブズマン~まいね(ダメ)!非公開~」がメインテーマに据えられました。
     弘前大会の詳細については、多岐にわたることや、全国市民オンブズマン連絡会議のホームページをご覧いただければ、お分かりいただけるところだと思いますので、ここでは、特に仙台からの参加者の活躍を中心に報告したいと思います。

    2 分科会について
    (1)原発関連問題が弘前大会の分科会の1つとなり、仙台市民オンブズマンの小野寺信一弁護士がコーディネートを担当されました。
    (2)この分科会のコンセプトは、オンブズマン的な手法で、原発の再稼働を阻止することはできないのかを考えるというところにありました。オンブズマン的な手法とは、身近な自治体を対象とし、具体的かつ実務的手段を活用するということで、具体的には、次のようなものです。
     国の原子力安全委員会は、国の原子力防災指針の見直しを進めており(新指針)、その中で、事故が起きた際の避難などの防災対策の重点区域を原発の半径30キロ圏に拡大する方向で検討中です。そこで、住民が、各自治体に対し、まず、東電福島第一原子力発電所事故の避難の実態と混乱の原因を自ら検証することを求め、新指針が東電福島第一原子力発電所事故における避難の教訓を反映しているか、また、新指針に定められた避難を実際に実施することができるかを検証し、それらの一つでも満たされない場合には、原発の再稼働を認めないことを自治体として表明し、知事と電力会社に送付することを求めるというものです。
    (3)そこで、分科会では、まず東電福島第一原子力発電所事故で避難を余儀なくされている方2名から体験をお話し頂きました。お一人からは、原発から3.2キロの距離に住んでいた、震災翌日、役場に行ったところ、大量の防護服が置いてあった、東電の広報担当者がいたが、具体的な状況は言わず、とにかく川俣方面に避難しろということだった、避難した方向が放射性物質の飛んできた場所だった、においや音、気配も何もなしに忍び寄ってくるものの不安感、事故前の避難訓練の意味のなさ、東電が未だに情報隠しをしているのではないかという疑念などについてお話しがありました。お一人からは、妊娠中だった、情報がないため一番濃度の高い15日に避難することになってしまった、少しでも遠くへという迫り来る不安は言い表しようがない、現在、放射線のことを口にできない雰囲気が福島にはある、福島医科大学の副学長は全く信用できない、事故は収束していない、福島では話せない小さな声を聞いて欲しいという思いであるなどのお話しをいただきました。
     次に、仙台市民オンブズマンタイアップグループの甫守一樹弁護士から、住民避難への対応の問題点について国会事故調査委員会等の結果を踏まえて報告頂くとともに、地域防災計画の法的な位置付け、地域防災計画の見直しが迫られている背景、地域防災計画の見直しに際しての課題(大規模複合原子力災害に備えることができるのか、地域防災計画に実質が伴うのか、またそのチェックをどのように行うのか)について、報告頂きました。
     それを受けて、東電福島第一原子力発電所事故を受けて、原発が立地する宮城県、新潟県、青森県とそれぞれの市町村が、独自に原子力安全対策・検証を行う委員会を設置しているがどうか、また、地域防災計画(原子力編)を策定しているかどうか、その見直し作業を行う委員会等についての設置状況と情報公開がどのように行われているかに関して、北海道・東北市民オンブズマンネットワークが行ったアンケート結果の報告がなされました。詳細は、全国市民オンブズマン連絡会議のホームページに掲載されていますが、ほとんど何も進んでおらず、情報公開もなされていない実態が明らかにされました。
    (4)以上を踏まえて、小野寺信一弁護士から、住民としては、自治体に対し、原発の再稼働を認めないことを自治体として表明し、知事と電力会社に送付することを求める、そのための自治体宛の意見書(少しの手直しで、どこの原発、どこの自治体との関係でも利用することができる体裁になっており、全国市民オンブズマン連絡会議のホームページにも掲載されています。)があるので、是非利用してもらいたいという取りまとめがなされました。

    3 震災復興関連特別報告について
     仙台市民オンブズマン事務局長の原田憲弁護士から、宮城県内被災自治体の震災復興計画に関する報告がなされました。
     まず、計画を作成する経過について、各自治体とも被災地代表や各種団体からの意見聴取だけではなく、懇談会、説明会、住民アンケートなどの方法を用いることで、住民の意向を反映させようとしていることはうかがえるものの、実態としてどの程度住民の意向が反映されたのかを検証することの困難性などについて報告がなされました。
     また、計画の内容面については、震災前と同様に、課題に応じて多種多様な事業が横並びで書き込まれているものの、住民の生活と営業の再建を迅速に進めるために、それらの調整をどのように図ろうとしているのか、震災前と同じ体制の下での復旧・復興では、スピード感のある事業の展開に支障が生じるのではないかという問題点の指摘がなされました。他方で、復興交付金の使い勝手の悪さについても指摘がなされ、通常の補助金交付事業のように各省庁の了解を得るための事務作業に忙殺されることなく、交付手続を簡素化し、また、使途についても地域の実情に応じた柔軟性が認められるべきとの指摘がなされました。
     その他に、仮設住宅に関する調査報告もなされ、応急仮設住宅の建設には莫大なコストがかかる、応急仮設住宅以外での対応も検討すべきであることや、応急仮設住宅の建設予定地、使用について事前に具体的に決定しておくべきことについて報告がなされました。
     いずれの報告書も、全国市民オンブズマン連絡会議のホームページに掲載されています。

    4 議会ウォッチング活動の報告について
     仙台の議会ウォッチャーから報告がなされました。
     開会のベルが鳴っても着席しない、開会時に短時間だけ在籍して、その後、長時間離席して戻ってこない、質問者が質問しているのに私語ばかりしている、私語がやんだと思ったら居眠りをしている、余りに熟睡しすぎていて座席から滑り落ちるのではないかと傍聴していてハラハラする、まるで学級崩壊の教室のような光景が広がっていたとのことです。
     しかし、通信簿にまとめ、周知されることにより、少しは改善の兆しが見えてきたとのことです。
     今後は、議員の質問内容を直ちに採点して、議会ウォッチャー・仙台のホームページに掲載し、議員の質問内容の向上に繋げていきたいとのことでした。

    5 決議等について
        上記の原発分科会を踏まえた決議と、政務調査費に関する分科会を踏まえた決議(地方自治法の政務調査費条項の改悪に反対する決議)を採択し、大会宣言を採択して終了しました。

                                             文責:吉田大輔

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