仙台市民オンブズマン|市民による行政の監視役
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  • ウランバートル海外視察(H30年9月10日~13日)

     平成30年9月10日から同月13日までの間,自由民主党・県民会議所属議員4名がモンゴルに海外視察に行っていました。

     1人当たりの視察費用は約39万円,そのうちの30万4700円は航空運賃(ビジネスクラス)でした。
    韓国経由のフライトだったのですが,インターネットでフライト時間を調べてみると,羽田から韓国(金浦)までは2時間20分程度,韓国(仁川)からモンゴル(ウランバートル)までは3時間50分程度です。仙台-東京間の移動や韓国内での移動もあったのでしょうから,エコノミークラスでの移動では議員としての活動に悪影響が出てしまうとの判断だったのでしょうか。
     こうしたビジネスクラスでの移動については様々な意見がありうると思うので興味深いところですね。

     さて,9月10日と13日は移動日で,実質的な視察は9月11日と12日に実施されたようですので,視察が実施された2日間について政務活動実績報告書(政務活動記録簿)を見てみました。

     まずは9月11日です。
     ウランバートル市観光庁を訪問していますね(所要時間60分)。目的は,宮城オルレオープンイベントへの参加依頼,モンゴルオルレの運用に関する意見交換,モンゴルの観光現状や旅行先としての宮城県の魅力等の発信及び意見交換だそうです。これって現地に行く必要はあったんですかね。どのような意見交換等がなされたのかくらいは教えてもらえないと「現地に行かなくてもよかったのでは?」と思ってしまう人は少なくない気がします。
     モンゴル国営自然史博物館も訪問していますね(所要時間60分)。目的は,観光政策における地域文化の活用状況等の調査だそうです。この調査の対象としてこの博物館が選定された理由はよく分かりませんし,調査結果もよく分かりません。博物館のガイドさんから現地の自然史の解説を受けただけであれば,観光客が普通に博物館を観覧したのと変わりませんよね。
     チンギスハン広場(所要時間30分)やザイサンの丘(所要時間60分)にも訪問していますね。目的は,観光政策における歴史建造物の活用状況等の調査です。これらについても調査結果等は分からないのですが,有名な観光名所を訪問していて,とりあえず楽しそうなカンジは伝わってきます。
     ウランバートル市内のスーパーマーケットも訪問しています(所要時間30分)。目的は,宮城県産品及び日本産品の輸出促進のための調査だそうです。これについては具体的な調査内容や調査結果を是非知りたいですね。これらがどのように県政に活かされていったのかも気になります。スーパーマーケットに30分程度立ち寄っただけでは「視察」なのか「買い物」なのか区別がつきません。

     次に9月12日です。
     テレルジ国立公園モンゴル博物館を訪問しています(所要時間60分)。目的は観光振興政策における地域文化の活用状況の調査です。この調査も内容等がよく分かりませんが,テレルジ国立公園に来てみたからついでに立ち寄ってみただけとも思えます。
     そのテレルジ国立公園については時間を掛けて調査したようです(所要時間240分)。目的は,翌月オープン予定の宮城オルレのためのオルレ活用状況の調査等です。「宮城オルレへの活用を考えているならばもっと早い段階で調査する必要があったのでは?」と思うのですが・・・
     この日はテレルジ国立公園を終日視察しており,視察内容は旅行会社が提案するテレルジツアーと遜色なく感じます。とても楽しそうです。

     以上が政務活動実績報告書(政務活動記録簿)から読み取れた視察内容と感想です。このような視察は「観光」と変わらないような気もするのですが,議員からすれば心外なのでしょう。真面目に調査してきた議員からすれば,そのように思うのは当然であると思います。
     海外視察に行くこと自体は悪いことではないのですが,一見「遊びに行ってるんじゃないの?」と思われるような内容であるから,海外視察の有益性が理解されづらいのかもしれませんね。しっかりとした活動内容や成果物が明らかにされていれば,海外視察なんて問題視されない気がします。
     この点に関していえば,議員4名全員が上記のような報告書で十分と考えていたことも残念です。1人くらいは,より詳細な報告書を作成しようと思ってほしかったなと思います。議員からすれば「そんなことに時間とか労力を費やしている余裕はない!」とか言われるのかもしれませんけど,市民からすれば「そこはやっぱり我々の税金から支出されているわけですから,そのくらいはしっかりしてくださいよ!」と言いたくもなります。この点をしっかりしてもらえれば,今回のような記事を投稿する必要もなくなるでしょうから,議員の方々には前向きに検討してもらいたいものです。

    千 葉  展 浩

    仙台市民オンブズマン

    事務局 仙台市青葉区中央4-3-28朝市ビル4F 宮城地域自治研究所内 TEL 022-227-9900 FAX 022-227-3267