1 判決の結果
令和4年夏に発生した仙台市職員による源泉所得税の納付遅れ(納期限の誤解により、市は国に延滞税と不納付加算税の合計4948万4200円を支払うことになりました。)を問題視した住民訴訟(仙台地方裁判所令和5年(行ウ)第11号事件)について、令和8年3月30日、仙台地方裁判所にて第1審判決が下されました。
オンブズマン(原告)は、仙台市長(被告)に対し、職員ら(労務課長、給与係長、担当係員)に対して損害賠償請求することを求めていましたが、原告の請求はいずれも棄却されました。
2 判決の骨子
本判決は、納付遅れについて職員らにそれぞれ過失があったことは認めた一方で、その背景には、財務会計システムの仕様やマニュアルの記載、各関係部局を含めた事務処理の流れ自体に納付遅れを招きかねない問題点があったと指摘しつつ、最終的に、職員らが市に対して賠償責任を負うための要件である「重過失」は否定しました。
※担当係員については、そもそも責任要件として重過失が必要かという解釈上の争いがあります
3 判決の問題点
本判決は、課長も係長も決裁時に実質的なチェックを一切しなくたって仕方がない、と言っているように感じます。
いくら他の業務で忙しくたって、担当係員にはマニュアルがあって前担当者に適宜確認することになっていたって、億単位のお金が動く決裁です。納税ですから、ミスをすれば当然国からペナルティがあります。少なくとも今回のミスを防ぐのに、資料の隅から隅まで目を通して分析したりする必要は全くありませんでした。それなのに、課長も係長も、配属1年目の係員の起案を、「ちゃんとやってくれているだろう」という憶測に基づいてほぼノーチェックで通してしまうのは、本当に「直ちに非難されるべきことということはできない」のでしょうか。
その他にも本判決には、ずっと杜撰な状態であったことをむしろ職員らの責任を否定する方向で考慮している、担当係員の責任要件に関する地方自治法の解釈を誤っているなど、様々な問題点があります。
4 控訴提起
オンブズマンは、本判決を不当と考え、令和8年4月10日、仙台高等裁判所へ控訴しました。
なお、オンブズマンとしても、今回のミスによる損害(合計4948万4200円)全てについて職員ら個人が責任を負うべきとまでは考えていません。控訴にあたっては、第1審を通じて明らかになった事情をもとに職員らの責任割合を再検討し、課長に対する請求額を593万円、係長に対する請求額を816万円、担当係員に対する請求額を74万円としました。
引き続き真相の解明と仙台市の今後のため、控訴審に臨みます。
