ねぎは実に重宝な野菜です。一年を通して消費される、いわば通年野菜です。鍋物の需要が一番多いのかもしれませんが、麺類、冷やっこ、湯豆腐の薬味、味噌汁の具、すき焼きなど、用途は実に多様です。
「関東は白、関西は緑」と言われるように、関東では主に白い部分を食べる根深ねぎが栽培され、関西では葉の先端部分まで食べられる葉ねぎが栽培されてきました。仙台では岩切の曲がりねぎが有名です。
根深ねぎと言えば、池波正太郎ファンであれば、すぐに『剣客商売』第1作「女武芸者」の「根深汁」を思い起こすでしょう。
「台所から根深汁(ねぎの味噌汁)のにおいがただよってきている。このところ朝も夕も、根深汁に大根の漬物だけで食事をしながら、彼は暮らしていた。若者の名を、秋山大治郎という」
実に質素な食事なのですが、何か凄くおいしい味噌汁を連想してしまいます。これが筆力と言うものなのでしょうか。
私も毎年欠かさずねぎを植えるようにしています。下仁田ねぎなどの苗を買って育て、冬の間も食べられるように土を掛けて保存します(写真①)。太いねぎはこれで用が足りるのですが、いつも思っていたのは、ちょっと薬味に使える細いねぎがあればいいなあ、と言うことでした。それが見つかったのです。ねぎとタマネギの雑種の「わけぎ」です。ホームセンターで偶然見つけました。球根から芽が出たものを発泡スチロールの箱に植えて育ててみました(写真②)。適当な長さになったら根元からきり取って刻むと、薬味となります(写真③)。早速、納豆に混ぜて食べました。「わけぎ」の良い所は、切り取ったあとまた生えてくること、球根なので掘り返して植え直すことも可能なことのようです。
①
②
③