仙台市民オンブズマン|市民による行政の監視役
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  • カテゴリー: 開示遅延国家賠償請求平成19年
  • 【控訴審も不当判決】外務省国家賠償請求事件

    本日,標記事件で仙台高等裁判所第3民事部は控訴棄却の判決を言い渡しました。
    残念ながら,オンブズマンの敗訴です。しかし,この判決にも重大な疑問がありす。
    オンブズマンは次のようなコメントを出しました。
    オンブズマンは上告をする予定です。
                                       そごう
    外務省国家賠償請求控訴事件判決に対するコメント

                                   
    平成22年1月25日 仙台市民オンブズマン

    1 外務省をかばう姿勢が明らかな不当判決である
     
     重要な外務省証人の証言を「信用性がない」と排斥しながら,他の部分では吟味もなく鵜呑みにした判決であり,外務省をかばう姿勢が明らかである。また,客観証拠や社会通念に基づかずに事実を認定している。たとえば,同時並行して審理していた情報公開請求の数,他年度と比較した外交イベントの件数,関係部署で相互協議した事実,5類型の文書以外開示しないという争いのない方針を無視していること,などである。
    2 情報公開制度を軽視して,現状を容認する不当判決である
     
     外務省が現在の人員のままで情報公開を後回しにしてもよいと容認している。外務省の本来業務より劣後する事務だと言わんばかりである。情報公開制度の重要性を理解しない態度である。
    3 外務省の行為は情報公開法上は違法である
     
     開示請求権者に,適時に情報公開決定を受けることのできる法的利益があると認められた(第1審も同様)。
     
     情報公開法の趣旨に反する外務省の行為を指摘しながら,国家賠償法上の違法性までは認められないと却けている。
     
     一部開示せずに延長決定をしたことは情報公開上違法だと判断している。
     
     2年後に開示不開示の時期を指定したことは「相当性を欠く」と指摘している。
     
     文書送付指示をするまでに4か月余りかかったことを「拙劣」と指摘している。
     
     請求から最終の開示決定まで11か月余りや9か月余りを要したのは「遅きに過ぎた」と指摘している。
    4 上告する予定である
                                                                         
    以上

    【証人2人採用!】外務省国家賠償請求控訴事件

     

     齊木証人に続き,仙台高等裁判所民事3部は,外務省の当時の担当者2名の証人尋問実施を決めました。下記期日で2名を尋問します。

    外務省の情報公開へ姿勢は極めて消極的で,そのことが浮き彫りになるものと思います。ぜひ傍聴してみて下さい。

     平成21年6月1日(月)午後1時15分から4時30分

            当時の外務省北米第一課首席事務官 新居氏

           当時の外務省西欧課主席事務官 今西氏

    【証人尋問採用!】外務省国家賠償請求控訴事件

    2月27日(金)仙台高等裁判所民事3部は,外務省の当時の担当者の証人尋問実施を決めました。おそらく,合計で証人3名の採用になる見込みですが,まず下記期日で1人目を次のとおり尋問します。

     平成21年4月20日(月)午後1時15分から3時30分

            当時の外務省大臣官房会計課長 齊木氏

     同氏の事前に提出された陳述書によれば,情報公開制における開示決定等の業務は極めて少人数の体制で取り進めなければならず,開示決定までに時間を要するのもやむを得ないなどと述べられています。本当に,平成18年11月30日の開示請求に対して,「平成21年3月末日までに開示不開示の決定をする」と通知する必要があったのかどうか,証人尋問で明らかになると思われます。外務省の情報公開の遅さ,消極さは際立っています。外務省の姿勢は改められるべきで,弁護団としては全力を挙げて取り組むつもりです。ぜひ傍聴してみてください。

                                                そごう

    外務省国家賠償請求控訴事件の準備書面提出

    外務省に対して国家賠償請求をしている訴訟で,次の準備書面2通を提出しました。

    11月23日のブログでもご紹介しましたが,外務省は「情報開示の決定が遅れたとしてもオンブズマンには損害がない」と強弁しています。これらの準備書面はこれに反論しています。

     こちら→
    準備書面090109.pdf

          準備書面090116.pdf

     

     

    (期日の感想とご報告)外務省国家賠償請求控訴事件

    11月19日行われた外務省国賠控訴事件の感想とご報告です。

    ○ 事件名
      仙台高等裁判所平成20年(行コ)第22号不作為の違法確認等請求

        控訴事件

     

    <感想>

    外務省側は,「情報開示の決定が遅れたとしてもオンブズマンには損害がない」などと述べてきました。この「損害論」については第1審でもさんざん議論していたところです。にもかかわらず蒸し返してきたというのが私の率直な感想です。「決定が遅れたことに正当な理由があるかどうか」の議論に入りたくないために,また蒸し返してきたとしか考えられませんね。

    一般市民の方からすると不思議に思われるかも知れませんが,オンブズマンは一定の規約を持った組織(これを「権利能力なき社団」といいます)ですから,裁判の原告にはなれるわけですが,一般に個人以外には精神的損害=慰謝料はないと考えられているのです。外務省側は,この点を衝いてきたのですね。でも,私たちとしては,オンブズマンへの情報開示決定が遅れたことによって,行政の不正をチェックするというオンブズマン本来の行動が妨げられ,それによって無形の損害を被ったと思っています。そして,これを金銭に評価して賠償を求めることはできると考えているのです。

    外務省には,正々堂々,「決定が遅れたことに正当な理由があるかどうか」の議論に入ってもらいたいところです。

                            
    <内容>

     ○ 控訴人(オンブズマン側)
       ・ 平成20年11月12日付文書提出命令申立書陳述
       ・ 平成20年11月13日付証人の採否等に関する意見書陳述(外務省職員の証人尋問を求めるもの)

     ○ 被控訴人(外務省側)
       ・ 平成20年11月14日付準備書面(1)陳述
       ・ 平成20年11月14日付意見書陳述(証人尋問に反対するもの)

     ○ 裁判所
       ・ ①損害の有無及び②遅延の違法性について検討の必要あり
       ・ 被控訴人は,真実を明らかにするために上記文書提出命令申立に協力できるかどうか検討してほしい

     ○ 宿題
       ・ 控訴人:被控訴人による「権利侵害無し」との主張に対する反論
       ・ 被控訴人:上記文書提出命令申立に対する意見

     ○ 今後の期日(次々回期日以降は予定)
       ・ 平成21年1月23日午後2時~(弁論)
         (予定されていた平成20年12月26日の期日は取消されました)
      (以下予定)
       ・ 平成21年2月9日午後1時15分~午後4時(証拠調べ)
       ・ 平成21年2月27日午後2時~(証拠調べ)

    外務省に対する国家賠償請求訴訟(概要)

     

    外務省に対する不作為の違法確認及び国家賠償請求訴訟(概要)
                                       

    平成18年11月30日及び平成19年2月2日、仙台市民オンブズマンは外務省に対し、サンフランシスコ日本国総領事館等の関係文書の情報開示を求めました。これに対して外務省は開示請求文書中可能な部分に対しては平成19年1月29日及び4月3日までに開示決定等をする。その余の部分については何と開示請求日から約2年後の平成21年3月4日までに開示決定等をすると回答してきました。
    言うまでもないことでありますが、情報はまさに生ものであり、本来開示請求をしたときに開示されなければ意味のないものであります。ましてや、2年後の開示など論外であり、このような形での開示が正当なものとして認められるならば、事実上情報公開制度は否定されたも同然であります。
     そこで、仙台市民オンブズマンは、外務省に対し、平成19年5月23日、不作為の違法確認訴訟等を提起しました。本件における請求の趣旨の主な骨子は①外務大臣が開示請求に対し開示決定等を一切しないことが違法である。②外務大臣が開示請求に対し60日を超えても「相当部分」につき開示決定等をしないことが違法である。③外務大臣が行った「通知」という処分を取り消す④事務処理上の違法につき損害賠償を請求するといったものです。
     その後、訴訟の進展にともない、外務省が開示決定等を行い、対象文書の一部を開示してきました(やればできるのです!)。そこで、オンブズマンは①から③の請求は取り下げ、④のみの請求を立てました。

     ところが,不当にも,仙台地裁は平成20年7月15日,オンブズマンの請求を棄却しました。その理由は,国家賠償が認められるのは「受忍限度を超えるような遅延があった場合だけである」などとしています。「外務省は他に忙しい重要な案件を担当しているのだから,オンブズマンは情報公開遅れくらいはがまんしなさい」と言わんばかりの判決です。きわめて行政寄りの判断ですし,その判断手法も大変不公正でした(詳細はこちらのコメントをご覧下さい。)。
    地裁判決comment08.7.15.pdf

     オンブズマンは現在仙台高裁に控訴しており,情報公開請求手続を5ヶ月間も放置していた担当者3名の証人尋問を求めています。

     次回高裁期日 11月19日(水)午前11時 弁論  証人の採否が決まる予定です。

    仙台市民オンブズマン

    事務局 仙台市青葉区中央4-3-28朝市ビル4F 宮城地域自治研究所内 TEL 022-227-9900 FAX 022-227-3267