仙台市民オンブズマン|市民による行政の監視役
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  • 東北文化学園大学住民訴訟終結

     オンブズマンは、学校法人東北文化学園が大学設置認可申請をした際に、虚偽の財産目録を作成して違法に大学設置認可を取得し、仙台市から補助金交付を受けたことに関し、東北文化学園大学の財産目録を監査した公認会計士の任務懈怠にも原因があるとして、公認会計士及び会計士が所属していた監査法人に対して賠償請求することを求め、平成17年4月に住民訴訟を提起しました。

     この訴訟は、監査法人側が上告し、最高裁判所に係属していましたが、監査法人側との間で合意が成立し、本日(平成23年12月16日)、監査法人側から仙台市に対し、解決金4億円が支払われ、オンブズマンは訴えを取り下げ、訴訟は終結いたしました。

     オンブズマンのコメントは以下のとおりです。

     

    東北文化学園大学補助金違法支出住民訴訟の終結に際しての声明.pdf

     

    控訴審も勝訴!

    以前からこのブログでも紹介している東北文化学園大の補助金支出に関し会計士、監査法人の責任を追及している裁判の判決がありました。

    事案の概要

    オンブズマンメンバーが、学園大が文部大臣に虚偽の財産目録を提出して大学設置認可を受けて四年制大学を開設したことについて、財産目録の監査を担当した会計士・監査法人に過失があり、そのため、仙台市が、大学設置認可がなければ支出しなかったはずの学校法人に対する補助金相当額の損害を被ったとして、仙台市に対し、会計士らに損害賠償請求をするように求めた事案です。

    なんと!1審(仙台地裁)に引きつづき、控訴審(仙台高裁)でも勝訴です!!

    高裁の判断は、1審とほぼ同じであり、
    ずさんな会計監査の実態を指摘し会計士・監査法人の責任を認めたものでした。

    ※高裁で認められた会計士の責任の内容:

    預金残高及び借入金残高の確認に際しては、学園大の不正を出来る限り排除するために、会計士は学園大に任せず自ら残高確認依頼書用紙等を金融機関あて直接投函するなどして学園大を介さずに残高確認依頼書用紙などが金融機関に届くようにする義務があるところ、会計士はそれを怠った過失(会計士は、金融機関への投函を学園大担当者に任せた)。

    ②会計士が、学園大担当者に対し、残高確認書について必要数に余部を加えた数を交付した過失。(→残高確認書は金融機関が作成するための用紙であり学園大に余部を交付する必要性はない。むしろ学園大による残高確認書の偽造を招く。

    ③スクールバスの自動車登録の確認を怠った過失

     

    会計士らによる因果関係がない旨の主張も、高裁では全て排斥されました。

    従って、会計士と監査法人には、仙台市に対して損害金を支払うべきであると判断されました。

    さらに会計士らは、

    仮に責任があるとしても本件補助金の交付という結果に向けて関与したのは
    会計士・学園大だけではなく、第三者も含まれるのだから
    全責任を会計士に負わせるべきではない

    と主張しました。

     

    しかし・・・

    高裁は、

    「会計士の過失のうち、
    少なくとも残高確認依頼書を直接投函せずに学園大に任せた過失(過失①)、
    残高確認書の余部を交付した過失(過失②)
    については、
    被監査人が介在することによる不正を出来る限り防ぐという
    残高確認の趣旨に反した単純かつ基本的な過失

    「監査制度の趣旨に照らせば、
    会計士に単純かつ基本的な義務違反が認められる本件において、
    会計士、監査法人らが負う損害額について
    特に軽減しなければならない事情があるとまでは認められない。」

    「仮に他の第三者が本件偽装工作に関与しているとしても、
    加害者側の事情は加害者間の求償により解決すべき問題であって、
    被害者に対する関係で参加人らが責任を負う損害額を
    限定すべきであるとまでは言えない。」

    と判断しました。

    1審に引きつづき結論は妥当で、非常に論理的、説得的な判決でした!

     

    ちなみに、監査法人・会計士は仙台市からどのくらいの金額の返還請求をされることになるのか・・・興味ありますか?
    なんと、遅延損害金を含めれば、11億円以上を仙台市に返還することになるそうです・・・。
    上告をしてさらに支払を滞らせれば、一体いくらになるのでしょうか・・。
     ・・・余計なお世話かもしれませんが、心配してしまいます(^_^;)
    早めに仙台市に返還していただき、結果として仙台市に有効に活用されることを願っています。

    それから、
    今回問題となった監査法人は、全国4分の1のシェアを有する法人だそうです。
    4分の1の企業全てに対し、
    これまで本件のようなずさんな監査をしていたとまでは言いませんが、
    今回の判決を教訓にして、今後は適切な監査をし、会社自体や株主、社員、社会の利益を守って欲しいと思います。

     文責;みうら

    東北文化学園大学 控訴審第1回期日報告

    東北文化学園大学住民訴訟の控訴審第1回期日が8月3日にありました。
    仙台地裁での第一審判決はこちら→http://sendai-ombuds.net/tohokubunka/2009/04/post-2.html
    一審判決に対し控訴したのは会計士(監査人)・監査法人です。
    会計士・監査法人の控訴の理由は、第1審でも主張されたものを除けば以下のとおりでした。
    1 (監査人は本件損害発生のほんの一部にしか関与していない)
     仮に監査人の違法な監査と本件補助金支出との関係に因果の流れがあるとしても、監査人以外の第三者の行為が多々介在しており、監査人の関与したのはほんの一部に過ぎないのに、全責任を監査人に負わせるべきではなく、大幅に限定的な責任を負うにとどまる。
    2 (過失相殺もしくは信義則に基づく損害賠償請求の制限)
     監査人の過失や損害との因果関係があるとしても、補助金を支出したことにつき仙台市に重過失があるため、ほぼ100%に近い過失相殺がされるべきである。
     仙台市は当初より地元に大学を設置・誘致したいとの強い意向により、学園大の大学設置認可を強力に推し進め、学園大の資産状況などにつき最低限行うべき調査を行わないまま、極めて拙速かつずさんな手続の元で支出をした。従って、今回の損害の発生は仙台市が寄与するところが大きい。
     とすれば、損害賠償請求をすることは信義誠実の原則に照らし妥当ではない。少なくとも100%に近い過失相殺がなされるべきである。
    事前に、オンブズマン側からこれらの主張は時機に遅れた主張である旨反論をしておりますが、さらに次回までに実質的な反論を検討することになりました。
    なお、仙台市からは上記2について、ずさんな手続に基づく補助金支出ではないとの反論がされています。
    さらに、会計士・監査法人側は、本件当時の金融機関に対する残高確認書の投函・取得方法が注意義務に違反していないことを立証するため、学園大の当時の財務部長と会計士の尋問を請求しました。                          
    オンブズマン側としては、1審ですでに会計士を調べていること、捜査段階で作成された元財務部長の検察官調書が証拠として取調べ済みであることから不要である旨述べましたが、裁判所は「確認したい点もある」とのことだったので、両名とも採用となりました。
    次回は10月6日2時半から2時間強、証人2名の尋問です。
    お時間の許す方は傍聴をお願い致します。                                                         (みうら)

    【判決書アップ】東北文化学園住民訴訟

     本年4月13日に言い渡された東北文化学園住民訴訟の判決文(全文,一部匿名)をアップします。

     →
    判決書090413.pdf

     公認会計士さんの業界では大きく話題になっているようです。ただ,本件の残高証明書の偽造という手法は古典的なものですから,金融機関からの直接取り付けを怠った責任を問われるのは当然です。

                                         そごう

    【完全勝訴です!】東北文化学園住民訴訟判決

     

    1 本日13時10分、法廷にて判決主文が読み上げられました。
        「主文。被告は、被告補助参加人新日本有限責任監査法人及びA(監査担当の公認会計士)に対し、連帯して、7億7908万1788円及び(略)年5分の割合による金員の支払いをするよう請求せよ」
        原告側の主張を全面的に認めた完全勝訴判決。そして大変常識的かつ合理的な判決でした。以下、簡単に判決内容をご紹介いたします。

    2 今回の判決のポイントは2つです。
        1つは、大学設置認可に際して財産目録の監査を担当した監査人には重大な責任があることを明らかにしたことです。
        本件では監査人が①直接金融機関に対し残高確認を依頼しなかった点、②スクールバス2台につき自動車登録(車検証)の名義確認を怠った点が過失と認定されました。
        そして仮に上記①②が果たされていれば、東北文化学園大学が設置認可され、仙台市から補助金が支出されることはありませんでした。これが2つ目のポイントです。
        監査人A及び監査法人は、上記「因果関係」について、監査人Aは仙台市から補助金が支出される具体的に予見していなかったと主張していました。しかし、判決では何らかの補助金が支出されることは予見出来ていたはずだと認定され、そのような主張は通りませんでした。
        従って、仙台市が東北文化学園大に支出した約8億円の補助金のうちすでに被害弁償されている分を除いた約7億8000万円につき請求が認容されました。
       
    3 仙台市へ求めること
      最も重要なことは、今回の判決が私たち仙台市民にとっても大変有利な内容のものだということです。ご存じの通り仙台市も他の自治体同様財政難に見舞われておりますが、本判決に基づき仙台市に数億円の被害が回復されれば、市政や私たちの生活にもよい影響が期待されます。
      従って、仙台市は、私たち市民のために控訴を断念し、速やかに被害回復(監査法人らへの請求)を図るべきではないでしょうか。監査法人らには相応の支払い能力があるはずです。仙台市が賢明な決断をされることを期待します。

      オンブズマンのコメント→
    判決コメント.pdf                                                                    

                                              みうら

    東北文化学園住民訴訟(概要)

     平成11年月3日に仙台市は東北学園大学(以下「学園大」と言います。)設置認可の際約8億円もの補助金を支出しました。この補助金支出は文部大臣による学園大の大学設置認可を前提として交付されたものでした。しかし、実際は大学設置認可申請の際、学園大が故意に負債を隠したり、本当は寄付がないにも拘わらず56億円分以上の寄付があったと偽装するなどして、財務状況を健全なものに見せかけ、不正に文部大臣の大学設置認可の許可を得たものでした。 
     仙台市民オンブズマンは、このような偽りの財産状況を作り出し大学設置認可申請をした学園大の財務部長と、十分な監査をしなかったために偽りの財産状況を発見できなかった会計士、そして当該会計士を雇用していた監査法人には、仙台市に約8億円もの補助金支出という損害を生じさせた責任があると考えました。なぜなら、真実の財産状況を前提とすれば大学設置認可されなかったはずであり、そうであれば当然仙台市が補助金を支出する前提に欠けるからです。
      平成17年4月8日、オンブズマンは「仙台市は学園大の財務部長や会計士、監査法人に対し8億円余の支払を請求すべきである」との内容の訴訟を提起しました。現在、仙台地方裁判所での審理は大詰めを迎え、次回結審見込みです。

      次回期日 平成20年12月1日(月)午後1時15分 結審見込み 

    仙台市民オンブズマン

    事務局 仙台市青葉区中央4-3-28朝市ビル4F 宮城地域自治研究所内 TEL 022-227-9900 FAX 022-227-3267