東北文化学園大学住民訴訟の控訴審第1回期日が8月3日にありました。
一審判決に対し控訴したのは会計士(監査人)・監査法人です。
会計士・監査法人の控訴の理由は、第1審でも主張されたものを除けば以下のとおりでした。
1 (監査人は本件損害発生のほんの一部にしか関与していない)
仮に監査人の違法な監査と本件補助金支出との関係に因果の流れがあるとしても、監査人以外の第三者の行為が多々介在しており、監査人の関与したのはほんの一部に過ぎないのに、全責任を監査人に負わせるべきではなく、大幅に限定的な責任を負うにとどまる。
2 (過失相殺もしくは信義則に基づく損害賠償請求の制限)
監査人の過失や損害との因果関係があるとしても、補助金を支出したことにつき仙台市に重過失があるため、ほぼ100%に近い過失相殺がされるべきである。
仙台市は当初より地元に大学を設置・誘致したいとの強い意向により、学園大の大学設置認可を強力に推し進め、学園大の資産状況などにつき最低限行うべき調査を行わないまま、極めて拙速かつずさんな手続の元で支出をした。従って、今回の損害の発生は仙台市が寄与するところが大きい。
とすれば、損害賠償請求をすることは信義誠実の原則に照らし妥当ではない。少なくとも100%に近い過失相殺がなされるべきである。
事前に、オンブズマン側からこれらの主張は時機に遅れた主張である旨反論をしておりますが、さらに次回までに実質的な反論を検討することになりました。
なお、仙台市からは上記2について、ずさんな手続に基づく補助金支出ではないとの反論がされています。
さらに、会計士・監査法人側は、本件当時の金融機関に対する残高確認書の投函・取得方法が注意義務に違反していないことを立証するため、学園大の当時の財務部長と会計士の尋問を請求しました。
オンブズマン側としては、1審ですでに会計士を調べていること、捜査段階で作成された元財務部長の検察官調書が証拠として取調べ済みであることから不要である旨述べましたが、裁判所は「確認したい点もある」とのことだったので、両名とも採用となりました。
次回は10月6日2時半から2時間強、証人2名の尋問です。
お時間の許す方は傍聴をお願い致します。 (みうら)