仙台市民オンブズマン|市民による行政の監視役
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  • 情報公開請求訴訟について(請求棄却)

     仙台市民オンブズマンは,平成27年12月2日,宮城県議会議長に対して,「安部孝県議の政務調査(活動)費に関する一切の文書(平成22,23,25,26年度分)」について開示請求をしたところ,宮城県議会の保有する情報の公開に関する条例(以下「県議会条例」といいます。)8条2号に該当することを理由に,政務調査(活動)費を受け取った者の氏名・住所等を非開示とされたことから,これらの開示を求める訴訟(以下「本訴訟」といいます。)を提起しました。

     平成30年6月26日,仙台地方裁判所において本訴訟につき請求棄却の判決が言い渡されました。
     
     本訴訟では県議会条例8条2号ただし書イの該当性が争われ,仙台市民オンブズマンは,当該該当性は情報公開の必要性と情報公開によるプライバシー侵害の程度を比較衡量することによって判断されると主張しましたが,裁判所はこのような比較衡量論は採用し得ないとしました。
     裁判所は,県議会条例と文言を同じくする宮城県情報公開条例(以下「県条例」といいます。)8条1項2号ただし書イ該当性につき,比較衡量論によっては判断されておらず,上記比較衡量の結果として同条例が施行される前に制定された開示基準によって当該該当性が判断されていると判示しています。

     しかし,県条例は,平成2年7月16日に制定されており,同年10月1日に施行されています。
     そして,裁判所が挙げる2つの開示基準の制定日は,食糧費に関する行政文書の開示基準につき平成8年3月13日,交際費関係文書に係る開示基準につき平成11年6月30日ですから,県条例が施行される前に当該開示基準が制定されたとするのは明らかに誤りです。

     県条例において食糧費に関する文書や交際費関係文書における氏名等が開示されたのは,上記の各開示基準に基づいたからではなく,仙台市民オンブズマンが平成8年7月29日において食糧費情報公開請求訴訟に勝訴し,その際に県条例の解釈として上記の比較衡量論が採用されたからです。
     上記の各開示基準は,食糧費情報公開請求訴訟判決を踏まえて制定または改正されており,当該制定または改正の前においても,同判決後は県条例に基づき食糧費に関する文書や交際費関係文書における氏名等が開示されていました。

     現在の県条例は,平成2年7月16日に制定された県条例を全部改正して平成11年3月12日に制定されたものであり,その施行日は県議会条例の施工日と同じ平成11年7月1日です。
     現在の県条例に関する「情報公開条例の解釈及び運用基準」が上記施行日の直前である平成11年6月29日に制定されていることにも照らせば,現在の県条例は比較衡量論によって個人名の開示を判断することを明らかにしており,県議会条例も同様に判断する立場に立っているとしか考えられません。

     以上のような経緯からすれば,本判決の結論になるはずがありませんので,仙台市民オンブズマンとしては控訴する予定です。

    【判決本文】
     情報公開請求訴訟地裁判決.pdf

    (千葉 展浩)

    ベトナム海外視察の訴訟終結

     ベトナム海外視察訴訟について,事件が終了したのでご報告いたします。
    (本事件の概要)
      平成26年5月5日~5月9日,自由民主党県民会議の議員7名が議会から派遣されてベトナム海外視察(議会派遣)に行った際,これに政務調査費を使って自由民主党県民会議の菊地恵一議員が同行しました。
      そもそも地方議会の議員に海外視察が必要であるかという問題もありましたが,議会が議会の議決で派遣する人間を決めて視察に送り出している中,それ以外の議員が政務調査費を使って同行することは許されるべきではない,菊地恵一議員がベトナム視察に支出した政務活動費を宮城県に返還するよう求めて裁判をしました。
      
    (本事件の経過)
      手続の進行は以下のとおりでした。
      平成26年11月28日 監査請求
      平成27年 1月26日 監査請求棄却
      平成27年 2月24日 訴訟提起
      平成29年 4月12日 第一審判決(請求棄却)
      平成29年12月14日 控訴審判決(控訴棄却)
      平成30年 5月24日 上告不受理決定
    (地裁判決と高裁判決の概略)
     仙台地裁判決は,「議会派遣の海外視察」と「議員個人の政務活動費による海外視察」は別個の制度であると一刀両断して両者の関連性を全く認めず、あくまで政務活動として適法か否かだけ判断し,こちらの請求を退けました。
      仙台高裁は,「議会派遣による海外視察に同行した視察への政務活動費の支出であるということは,政務活動費支出の目的や具体的内容に照らし,その必要性ないし合理性が認められるか否かを判断する事情の一つとして考慮する」との判断を示しましたが,結論としては地裁判決同様,本件同行視察に関する政務活動費支出を適法と判断しました。
      上告不受理決定により本事件は終了しましたが,上記仙台高等裁判所の指摘は,同行視察への一定の歯止めになるのではないかと考えています。
      今後も,仙台市民オンブズマンでは,議員の不正・不当な支出については目を光らせていきたいと考えています。
                                                                            畠山裕太
    【判決書】

    仙台市地下鉄東西線第2次提訴

                                       齋藤 拓生
    1 仙台市地下鉄東西線第2次差止訴訟の提起
     仙台市民オンブズマンは、開業後の実績により、最高裁で確定した仙台地裁判決が完全な誤りであったことは明白となったことを踏まえ、いわば「再審」として、平成30年3月27日、第2次差し止め請求訴訟を提起しました。
    2 何が問題か?
     仙台市営地下鉄東西線は、平成27年12月6日、開業しました。仙台市は、平成14年に国交省に事業認可申請した際、開業年度の1日当たりの利用者数を11万9000人と予測していました。ところが、開業1年目の実績は1日平均6万2263人、開業2年目の実績は1日平均5万5400人となっており、需要予測が大幅にはずれました。
     東西線は一部の市民に一定の便益をもたらしているとはいえ、これまでは、経営破綻は必至であり、最終的には、仙台市民の重大な損失を及ぼすおそれがあります。
     仙台市民は、そのような事態となることは誰も望んではいません。問題は、何故このような事態となってしまったのか、このような事態を避けることはできなかったのか、にあります。
    3 仙台市民オンブズマンによる提訴
     仙台市民オンブズマンは、平成15年、地下鉄東西線に関する一切の公金支出の差止を求める住民訴訟を提起しました。
     主張の要点は、①開業時の乗車数11万9000人(1日)はもはや絵空事であり、せいぜい6万人である(1日)、②1日の乗車人数が6万人であれば、黒字転換は永久に不可能であり、一般会計から毎年巨額の税金を注ぎ込まなければ、経営を維持することができない、③仙台市は、費用便益費を1.62(費用1に対して便益が1.62)であるとするが,それは水増しであり、正しくは、0.82でしかない(費用に見合った便益が見込まれない)、④以上のとおりの実態の地下鉄東西線事業は、違法であり、そのような違法な事業に公金を支出することは許されない、というものでした。
     仙台地裁は、平成17年12月22日、「1日当たりの乗車数11万9000人という仙台市の需要予測には、合理性が認められる。したがって、これを前提とする損益収支見込み(平成35年度には単年度黒字に、平成46年度には累積黒字になる。)も、著しく合理生を欠くものとはいえない。そうだとすれば、本件事業を実施するか否かは、被告市長がまさに社会的,政策的又は経済的な諸要素を総合考慮して決すべき政治的判断ということができ、議会のコントロールの下での被告市長の広い裁量に委ねられる。」として、仙台市民オンブズマンの請求を退けました。事実と証拠を無視した明らかな不当判決でした。その後、控訴も上告も退けられ、平成20年3月11日、不当な仙台地方裁判所の判断は確定しました。
    4 仙台市は何故需要予測を誤ったのか?
     
     仙台市は、平成24年8月22日、東西線の需要予測を、1人平均11万8702人から、1日平均7万9664人に、大幅下方修正しています。しかし、開業後の実績は、せいぜい5万5000人程度であり、大幅下方修正した数値すら達成できていません。
     
     何故、仙台市は需要予測を誤ったのでしょうか。答えは明らかです。仙台市は、平成14年の許可申請の際、平成4年に実施した第3回パーソントリップ調査に基づいて需要予測を行っていますが、本来は、平成14年から実施されていた第4回パーソントリップ調査の結果に基づいて需要予測を行うべきでした。第4回パーソントリップ調査の結果に基づいて需要予測を行っていれば、1人平成6万人程度しか乗車しないことは予測可能でした。高裁段階では、この点も主張しましたが、裁判所は、「行政はまちがったことしない」という先入観から、行政の判断を追認してしまいました。
    5 東西線問題の今後
     本来は、議会で、もっと議論が尽くされるべきでした。鉄東西線の必要性、事業収支、仙台市の財政に及ぼす影響等々について、議会では、まったくといっていいほど議論は行われませんでした。当初の需要予測が誤りであったことが明らかとなった開業後においても、議会は、東西線の問題について、何ら議論を行っていません。そのような議員を選んだ市民にも責任の一端があることは否定できません。
     仙台市民オンブズマンは、開業後の実績により、最高裁で確定した仙台地裁判決が完全な誤りであったことは明白となったことを踏まえ、いわば「再審」として、平成30年3月27日、第2次差し止め請求訴訟を提起しました。第2次差止請求訴訟では、需要予想誤りの原因を解明し、地方自治体の公共交通政策の在り方そのものに根本的メスを入れ、公金の無駄使いを正していきます。
     第1回口頭弁論期日は、4月17日でした。第2回口頭弁論期日は、6月12日午後1時15分です。
    以上

    仙台市民オンブズマン

    事務局 仙台市青葉区中央4-3-28朝市ビル4F 宮城地域自治研究所内 TEL 022-227-9900 FAX 022-227-3267